
今年も専門学校でイラストレーションの授業を行うことになった。毎回、学生には「卒業後、どんな仕事に就きたいか」「好きな芸術家・作家は?」「好きな映画は?」「好きなミュージシャンは?」というアンケートをとることにしている。どんな事に影響を受けてきたかを見ると、何を描き出すかが大体解る。最近気になっているのは「影響を受けた文化との距離がとても近い」という事である。インターネットの時代になって、好きなものがすぐに手に入るようになったため、自分の趣味の範囲しかカバー出来なくなっている。その世界の大御所の姿、或いは歴史などが見えていないんですね。最近流行っているもの、今発表されている漫画などを参考に描いた自分の作品というのは、それ以下にしかならない、絶対に。目指す「何か」との距離は遠い方がいい。流行っているモノのルーツ、そのまたルーツを探っていって欲しい。
「一番求人が多そうだから」という理由で「グラフィックデザイナーなりたい」という学生の記述を見て、「おいおい!」と注意した。話を聞いてみると「デザインの仕事がしたいが、その準備段階でどうしても身につけたい仕事」という答えが返ってきた。だったら、最初からそう書けば良いと思うのだが、そのあたりの不器用さも最近の若者ならではなのだろうか。その場で「求人が多そうだから」という記述を「夢の準備」と書き換えさせた。処世術も教えなくてはいけないのだろうか。イラストやデザインの身体感覚を20歳前後の若者に教えるのは大変だ。今回はデザイントラベルとナガオカケンメイさんの話、Judd.というフリーペーパーの話、玄光社から毎年発行されている「イラストレーションファイル」の話なども交えたが、学生はどれも知らなかった。「知っている人?」と手を挙げさせたのだが、恥ずかしくて挙がらなかったのか。僕は狭い世界の住人なのかも知れないが、イラストに特化された授業でこれらを知らないというのはどういう事なのだろう。単純に世代の違いか。彼らの二倍生きてるからな〜。イラストについて、いつも結果だけを見て講評する時間しかないんですが、今年はもう少し話しをする時間を設けよう。






















