今年も専門学校でイラストレーションの授業を行うことになった。毎回、学生には「卒業後、どんな仕事に就きたいか」「好きな芸術家・作家は?」「好きな映画は?」「好きなミュージシャンは?」というアンケートをとることにしている。どんな事に影響を受けてきたかを見ると、何を描き出すかが大体解る。最近気になっているのは「影響を受けた文化との距離がとても近い」という事である。インターネットの時代になって、好きなものがすぐに手に入るようになったため、自分の趣味の範囲しかカバー出来なくなっている。その世界の大御所の姿、或いは歴史などが見えていないんですね。最近流行っているもの、今発表されている漫画などを参考に描いた自分の作品というのは、それ以下にしかならない、絶対に。目指す「何か」との距離は遠い方がいい。流行っているモノのルーツ、そのまたルーツを探っていって欲しい。
「一番求人が多そうだから」という理由で「グラフィックデザイナーなりたい」という学生の記述を見て、「おいおい!」と注意した。話を聞いてみると「デザインの仕事がしたいが、その準備段階でどうしても身につけたい仕事」という答えが返ってきた。だったら、最初からそう書けば良いと思うのだが、そのあたりの不器用さも最近の若者ならではなのだろうか。その場で「求人が多そうだから」という記述を「夢の準備」と書き換えさせた。処世術も教えなくてはいけないのだろうか。イラストやデザインの身体感覚を20歳前後の若者に教えるのは大変だ。今回はデザイントラベルとナガオカケンメイさんの話、Judd.というフリーペーパーの話、玄光社から毎年発行されている「イラストレーションファイル」の話なども交えたが、学生はどれも知らなかった。「知っている人?」と手を挙げさせたのだが、恥ずかしくて挙がらなかったのか。僕は狭い世界の住人なのかも知れないが、イラストに特化された授業でこれらを知らないというのはどういう事なのだろう。単純に世代の違いか。彼らの二倍生きてるからな〜。イラストについて、いつも結果だけを見て講評する時間しかないんですが、今年はもう少し話しをする時間を設けよう。
Monthly: 2010年5月
新年度の授業
撮影快調!2010年む展の旅
27TH 2010年「む展」の旅。6月1日が展覧会の初日なんですが、ここのところ今回の目玉企画「tomovsky*+RH+花田理絵子 travelogue トラベローグ」の撮影に付き添っています。昨日は磯工芸館〜川内商工業高等学校〜ホワイトギャラリー〜桜島のN先生のアトリエと、ぐるぐると鹿児島県内を回ってきました。やはり、今回の旅で最も心を打たれているのは、諸先輩方の暮らし方なんです。経済至上主義でないところ、独自の生き方を模索しつつ楽しんでいるところ・・・。で、決め手は、皆さん笑顔が素敵!今回、チラシのデザインも担当していて、参加者41名(!)のコメントをタイピングしたんですが、みんな熱い!60文字の制限なのに200文字オーバーだったり。中でも大先輩K氏のコメントは「明治以来続いてきた官僚制度、その功罪。人・物・金、価値観までもが東京一極集中。芸術文化は発祥の地にて真価を発揮するもの。最後の砦。警告。」でした。そうなんです。芸術文化は最後の砦です。鹿児島発で出来る事。価値を作り出していく。時代は思うように動きませんが、何とかこの展覧会を通して少しでも変わってくれればと思っています。
再び堕天使の森へ
先日お伝えした「ますみつ三知子 Traveling Exhibition 堕天使の森 no.1 はじまりの森」に再び出かけてきました。会期は明後日9日まで。僕とはフィールドも表現方法も全く異なるんですが、「地域を見つめ直す」「時代を見つめ直す」という軸は共通しています。今回の会場は、江戸時代に築きあげられた立派な棚田なんですが、これまで鬱蒼とした森と化していたんです。そこに再び光が差した。作品展ではあるけれども「何故、棚田に意味がなくなってしまったのか」という疑問を伝える媒体であると、ますみつさんはおっしゃっていました。ハローワークに並んでいる仕事を失った人たちは「生活の基盤を築く」という本当の意味を知らない。経済という不安定なシステムに身を任せるよりも、石を運んで田を耕し、少なくとも自分たちの食料は確保していく。ますみつさんの作品とその舞台は、そういう歴史を浮かび上がらせた。自然は綺麗でない。人間が手をかけた所に本当の美しさがある。ともおっしゃっていました。
「若い方の来場者が少ない」との事。鹿児島で活躍している若手作家の方々はデザイン系、アート系を問わず是非とも出かけて、体験して、じっくりと話をしてもらいたいと思います。という訳でイラストで頑張っている人たちの代表T氏、アートで頑張っているA氏、情熱家のH氏・・・などなど若手作家は絶対に話を聞いてくるべきだと思いますよ。
website,mixi,twitter,犬
インターネットの普及があまり進んでいなかった頃、数少ない友人の数少ないサイトを観るのが楽しみであった。それまではテレビのチャンネルを回して世界情勢だとか芸能情報だとか連ドラをチェックしていたんですが、友人の生き方を眺める方に興味が移った。時は流れてmixiのサービスが始まり、ますますその流れが加速。犬は、毎朝の散歩で電柱のニオイを嗅ぎ、近所の犬社会の中でのポジションを知ると言われています。アイツは今病気だとか、俺は何番目に強いとか、そういう情報が電柱に染みこんでいる。犬と自分の生活を照らし合わせると、mixiは電柱の様なものだなと意識する様になった。そしてtwitterである。こちらは、更に自分が犬であることを確信する様なシステムだと思う。有益な情報、良く解らない情報がどんどん混ざって流れてくる訳ですが、結局のところ「おはよう」とか「おやすみなさい」が最も多用されている。一言で表現すると「みんな頑張って生きてるなあ」という事実を知るためのものだ。心臓の壁が激しく動いて、血液が物凄い速度で循環している様子。これまでは数える程しか実感出来なかったけど、twitterの画面ではそういう生命力を見てとれる時がある。その部分に怖さを感じるときもあるし、励まされるときもある。こういう社会が自分に何をもたらすのか解らないが「自分の運命」を意識する機会が増えたと思う。
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写真は中庭に出現したカエルくんです。体には土がついており、二日ほど全く動かなかったので、冬眠から目覚めたばかりの状態だと思われます。三日目にはいなくなっていました。
2006年の年賀状
戌年。いつも立場が逆転する事を考えています。
ビオトープ
大成建設のためのイラスト(ビオトープ)
嘉例川駅+プリウス
鹿児島トヨペット50周年のためのイラスト
今度は潮干狩り
実にGWっぽい日々を過ごしています。僕の仕事は基本的に年中無休で「GW明けに入稿」というのも常識。そんな訳でどちらかというと平日にのんびりするのが好きなんですが、長男が幼稚園に通い始めてから、それに合わせて休日・祝日に休みをとるという屈辱的な状態に。今回は鹿児島ならではの「穴場」で潮干狩り。4人家族が4組集まり(親の平均年齢37歳・子供の平均年齢4歳)、16名という大所帯でしたが、広大な干潟なので空いてる〜!という印象。貝の他、カニやシャコ、ヤドカリ、ウナギの稚魚?なども捕獲出来て、バケツの中は海鮮丼状態でした。
知林ヶ島へ
以前から一度は行ってみなくては・・・!と思っていた「知林ヶ島」へ行ってきました。オーテマハウスから谷山〜指宿スカイライン経由で一時間ちょっと。この島、一定時間だけ「砂のかけはし(800mの砂州)」が出現して、歩いて渡ることが出来るんです。「十戒」の海が二つに割れるシーンを思い出す人もいるかも知れません。砂州の出現予測を事前にチェックしてから出かけるのが良いでしょう。「砂のかけはし」では、イソギンチャクやヤドカリを触る事も出来ます。素潜りで何かを捕まえている人もいました。
GWだというのに渋滞もなく駐車場にもすんなりと入れるのんびりとした場所。カフェでも一件くらいあれば・・・という景観ですが、この商売っ気のなさが鹿児島の魅力ですね。
はじまりの森@野外ギャラリーcoo
ますみつ三知子 Traveling Exhibition 堕天使の森 no.1 はじまりの森
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オーテマハウスから車で10分、同じ日置市内に野外ギャラリーが誕生!以前は棚田として機能していた山がこの何十年かは杉林としての役目を果たしていました。そして今回は、ギャラリーとして生まれ変わった訳です。オーテマウンテンも畑→杉林という運命を辿っていますが、杉林というのは事実上、地主が何らかの事情で定住・管理できなくなっている場合が多いんです。時代の流れとともに、荒れていた里山がこうして復活していく動きが高まるかも知れません。綺麗な石積みと平地が複雑に連続している様が実に美しく、楽しいので、ギャラリーといっても山登り、探検、散策気分です。造形作家のますみつ三知子さんによる生き物??の彫刻が点在しており、その中から5人の堕天使を探すという趣向になっています。里山RPGと言えるかも。クレソンが自生していたり、展望所からは東シナ海がバッチリ見下ろせたりと贅沢な空間です。この展覧会、全国を旅芸人的に巡回していく予定だとか・・・。
ギャラリー入り口の風木野陶では、ランチやお茶を楽しむことも出来ますし、陶器の販売なども行われています。GWの一日、日置市で是非お過ごしください!