
6/1より薩摩川内市・隈之城にあるギャラリー「U1 SPACE」で始まるグループ展について、少しお話したいと思います。
僕は学生時代最後の年(1989年)に、バイト代をつぎ込んで渋谷にあったギャラリー「ART WAD’S」で初めての個展を開きました。その頃、イラストレーターが憧れていたギャラリーというのはそんなにありませんでした。イラストレーションの専門誌といえば(今でも発行されていますが)玄光社の「イラストレーション」くらいしかなかった。そんな中で、憧れ中の憧れとして、表参道のHBギャラリーが存在していた訳なんです。HB STUDIOの唐仁原教久さんがオーナーを務めるこのギャラリーは、間違いなくイラストレーターになるにはココ!という意味を持っていました。今の様に多様化したデザインシーンからはどう見えているのか解らないけれども、僕が駆け出しの頃というのは、しっかりとしたデザイン界の核があったと思います。画期的だったのは、HBギャラリーが主催して行われている「ファイルコンペ」という企画。賞をもらうと、一週間ギャラリーが無料で借りられる。バタフライ・ストロークの青木克憲さんをはじめとして様々な才能が世の中に紹介されていきました。・・・また、落選した人もファイルがギャラリーに残り、デザイン事務所やクライアントがHBギャラリーで閲覧出来るという仕組みを作ったのも画期的。インターネットもまだなかった時代、そういう意味でもHBギャラリーは検索システム的な役割を担っていました(今でも続いています)。僕は、審査員賞を受けることはありませんでしたが、ファイルがきっかけとなって、実にいろんな仕事を頂きました。今の自分を支えているのは、この頃に作った人脈がベースになっています。後日、あらためてファイルを持って営業に行き、審査の厳しいHBギャラリーで何とか個展を開く事が出来ました。一週間のレンタル料は決して安いものではありませんでしたが、それだけ自分に投資するだけの場所だった訳です。(僕が鹿児島に移住する相談を聞いてくださったのも唐仁原さんでした)。その唐仁原さんが、5年前に監修して立ち上げたのが、隈之城の「U1 SPACE」なのです。5年間、鹿児島でイラストレーターのみの展覧会を続けてきた意義というのは相当に大きい筈です。どこまでイラストレーターという仕事が認知されたのか、そのひとつの転換点となる展覧会だと思っています。HBの例にならって鹿児島でも3年続いているファイルコンペ。その受賞者と、これまでかかわった鹿児島在住のイラストレーターのグループ展になります。6月1日16時からは、作家によるギャラリートーク、6月22日には唐仁原さんも東京から駆けつけてくださいます。是非お出かけ下さい。






















