「イラストレーション秘密のアイデア帳」という書籍が2月23日、技術評論社から出版されます(編著/アレフゼロ)。私、オーテマも6ページほどを割いて最新作のメイキングを解説しています。イラストレーターというソフトを使ってイラストを描く方へ向けての専門書なのですが、こうしたHOW TO本に登場するのは久しぶりです。1993年に初めてマックを導入したとき、イラストレーターのヴァージョンは「3」でした(現在は15)。当時はまだ作業画面とプレビュー画面を同時に表示出来ず、ウインドウを二つ立ち上げて、比較しながら仕事をしていました。年輩のデザイナーの方には「イラストレーター(という職業)がイラストレーター(というソフト)を使うのって、何かオカシイね」と言われた記憶があり、シャレで登場した様な認識を持たれていた時代もありました。しかし今では業界標準ですね(若い人は「イラレ」と表現している様ですが、これには違和感のある世代です)。フォトショップの様に、拡大するとグリッドの情報になってしまう世界(いわゆるペイントツール)とは異なり、イラストレーター(いわゆるドローツール)には、何か簡潔な、混じりっけのない空気がある。イラストレーターに出会った瞬間「これだよコレ!」と、それまでアクリル絵の具でフラットな画面を作るのに苦労していた自分を解放してくれたんです。絵の具をムラなく塗り重ねる作業は、イメージがその行程の先にある自分にとっては時間の無駄遣いでしかなく(ある意味、塗り重ねも意味があるんですけど)クリエイティブな領域とは言い難かった。出会って以来、家族と向かい合う以上の時間をこのソフトに費やしてきました。今回の書籍では、そのテクニックのほとんどが紹介されています。昔から特に機密情報的な技術は全くありませんから、いくらでも伝授したいと思っているんです。本ブログに投稿してくれている田中英樹氏や、仲間の久保誠二郎氏も登場しています。一家に一冊、如何でしょうか。
Monthly: 2011年2月
イラストレーション秘密のアイデア帳
頴娃町に日帰り出張
頴娃町に日帰り出張。自家用車での孤独な道中でしたが、何ともファンタスティックな光景が次から次へと目の前に展開されました。光のシャワー(と、敢えて呼びたい)を抜けると、薩摩富士と呼ばれる開聞岳が見えてきます。お茶畑に無数に建つ「霜よけファン」が、宇宙人との交信をしている様に思えてなりません。
オーテマハウスから50キロほどの道のり・・・首都圏で言うと、東京から鎌倉の距離とほぼ同じですが、すれ違う車は殆どなし。マーケティング的には絶対に成り立たないでしょうけど、こんな場所にポツンとカフェがあれば絶対に日本一カッコイイ店舗になりうると思います。先日、「ジブリ汗まみれ」に登場したニコニコ動画の川上量生氏が、経営のノウハウやマニュアルに沿って動く人は、何かのイデオロギーのミーム、或いは社会的生命体の歯車=奴隷になっていく人間=全体の価値観で動くマシーンだと、興味深いお話をされていました。グーグル的価値観で作られる社会では人間の住む場所が少なくなってくる。とも。結局、田舎暮らしを続けている自分でさえ、未だにこんな景色に感動してしまうのは、その価値が年々高まっているからだと言えるでしょうね。
広告って素敵なものだったゼ
鹿児島市立美術館で行われていた「JAGDAポスター鹿児島展/日本のグラフィックデザイン1981-2006」の最終日に足を運んで、いろんな想いが蘇ってきた。〜〜僕が「デザイン」の世界に足を踏み入れようと思ったのは中学3年生の時だった(30年前か!)。近所の美術予備校のパンフレットを見て、「デザイン/工芸」か「油絵/彫刻」の二つの選択肢からどちらかを選ばなくてはいけない。美術系の学校を目指す場合は、入試のあり方に沿って勉強の仕方が違う。参考作品を見て好き嫌いを判断したり、自分の資質を考慮すると明らかに前者の世界以外は考えられない。〜〜そんな、少年の頃を思い出した(だから、今でもデザインとアートを一緒に語ることは生理的に難しい)。今回のJAGDA展では、Macの画面上に懐かしい広告が次々に映し出されていた。特に80年代の前半は、ポスターの一枚一枚が、当時の自分にとってはヒーローだったんだと改めて実感・・・。細谷厳の広告は、そのまま片岡義男の語りや小説、当時のFM番組に繋がっていくし、井上嗣也はYMOと直結していったり。とにかく「膨らみ」があった。今、時代が変わって、当時の様なイメージで構築していく世界はグッと減っている。保険や健康食品など、自分の身体そのものに関する商品が、即物的に「品のない状態で」次々に発信されていく姿ばかりが目立つ。イメージを味わっている余裕がないのかな。当時自分が味わったワクワクした気持ちは、どうしたら伝わるのか・・・難しい時代だ。
理想のモバイル環境とは
外出先からどうしてもラフスケッチを送らなくてはならない時があって、長期滞在の時は軽めのスキャナをトランクに入れていった事もあったものです。しかし・・・先週の場合はiPhoneをスキャナ代わりに使う事に成功しました。無料のCamScanner Freeというアプリで、コピー用紙に描いたラフを撮影、処理すると今回の様な画像になったんです。普通、紙に描かれたものを撮影すると、色ムラが発生してこのようにスッキリと見せることは難しいのですが、デフォルトの設定でここまでの状態に(OCR機能もあり)。勿論、Photoshopなどで更に不必要な部分を削除したりファイルサイズを変更すればベターですね。
今回の画像は、理想のモバイル環境。iPhoneを中心にして、スタイラスペンとプロジェクタがあったらいいなという。スタイラスペンは普通の紙に描く様な感覚で使えます。プロジェクタは、手前にはキーボード、奥にはディスプレイ画面を映し出します。図では便宜上、距離がありますが、40-50センチ先でピントが合う様に。明るめの室内でも認識出来る仕様は難しいのか?イラストレーターやフォトショップのiPhone、iPad向けのアプリがあれば(おそらく開発中)絶対に売れるでしょうね。今、17inchのMacBookProとモバイル用のペンタブレットなどを持ち歩いていますが、デジタル修行僧の様な出で立ちにならざるを得ない。各種アダプタ類も相当にかさばるので、将来は全てソーラー供給と無線接続を希望!身軽に飛び回りたいのですが、その場合は爽やかに水彩スケッチ旅行の方がいいかも知れませんね。あの人みたいに。
二つの世界を生きる
水曜日に鹿児島県某所で行われた打ち合わせは、大袈裟に言えば「砂漠に杭を打ち込む」という種類のものであった。木曜日に東京の某所で行われた打ち合わせは「飽和した社会の隙間に向けて何かを創出する」というものだった。頻繁に行き来している訳ではないけれども、これはもう二つの異なる世界と考えた方が、仕事がやりやすい。イイとか悪いとかではなく、明らかに違う。そしてどちらも面白い。問題なのは、同じ国家なのにその二つを同時に見られる人が少ない事だと感じた。両者の間には、ビジネスではなく、もっと大切な、取り組むべき問題が沢山ある。「中国とどう付き合うか」という様な話が最近多いけれども、その前に国内の実情を未来形に再構築していかなくては・・・。
シングルレコード音源をデジタルデータへ変換中
とある展覧会の準備。個展ではないので各種の調整が必要です。そんな中、とある「お宝」レコードを拝借する事が出来て、デジタルデータ化する事になりました。USBのアウトプットがあるプレーヤーを購入してMacへ取り込み。このプレーヤー、通常の使い方も勿論出来ますが、アナログ入力端子があるのでテープデッキなどを繋ぐ事も可能。プレーヤーというよりは、トランスポーター的な役割が大きいですね。展覧会の詳細については、追って報告します!お楽しみに。
こんな感じで盛り上がってきました
東海道新幹線に遅れる事40数年。今頃になって「ビュワーン・ビュワーン・は・し・る〜」と、幼少期のかすかな記憶を追体験している様な感じがします。時代は変わっても新幹線の存在って、やはり大きい。九州が日本から独立する様な勢いがあちこちで見受けられます。そして、天孫降臨、日本が始まった場所(今、ニュースになっている新燃岳のあたり)に、再び何かが集まってくる様な気もしています。
日本国有鉄道ロゴ入り扇風機
またまた行ってきました。指宿へ。前回は「なのはな」号でしたが今回は鈍行で。天井には先日お伝えしたJNRのロゴが残っている扇風機が。鹿児島中央〜指宿間は、目前に控えた九州新幹線全線開業に伴い「指宿のたまて箱」号が観光列車として運行されます。今回乗車した在来線の車両はまだ走り続けると思われますが、今のうちにいろいろと記録しておきたい事が沢山あります。
color trip
薩摩川内市隈之城「U1 SPACE」にて、本日2月1日から2月28日までイラストレーター宗前千夏さんの個展「color trip」が開かれています。オープニングパーティーは6日(日)の14時から。写真は2007年、ニューヨークで行われた展覧会「サツマティック」時のもの。宗前千夏さん、たけいしょういちろうさんとのグループ展でした・・・懐かしいですね。あれから随分と時間が経っていますが、イオン鹿児島や鹿児島空港などで、意識せずとも彼女の作品が目に入ってくる様になったので、遠い記憶から現在までがひとかたまりとして認識されています。今回はどのようなシリーズが展開されているのか、楽しみです!水曜日が定休なのでお気をつけ下さい。