
昭和41年(1966年)生まれの自分にとっては、この雑誌はいつも気になる存在なんですが、これまで「買ってみよう」・・・というほどではなかったんです。しかし今回の特集は中身を見ずに買ってしまいました。
自分たちの世代が子供の頃に夢見ていた未来というのは、健康的で輝かしいものでした。今考えると地球環境への配慮を無視している荒々しさがあるんですが、当時はそんな概念がなかったんですよね。小松崎茂氏による未来像などは、少年だった誰しもが影響を受けていたと思うんです。忘れられないのは、テレビやラジオから流れてきた「東名高速道路」という言葉です。もしかすると建設中のニュースだったのかも知れません。子供だった僕は「東名」を「透明」だとすっかり思い込んでいたんですね。透明のチューブの中を車輪のない車が移動している様子、これしか頭になかったんですよ。
そんな輝かしい未来は、80年代後半から徐々に崩れてきます。有名なのはフィルム・ノアールSFのブレードランナーですね。ディストピアのイメージの方が、輝かしさよりもリアリティを帯びてきました。そして「未来世紀ブラジル」です。こちらは1930〜50年代くらいの美術を下敷きにしており当時「レトロフューチャー」と呼ばれていましたね。
で、今ですよ。
パスト・フューチャー・・・自分の世代には生理的にわかる言葉なんですが、ほかの世代はどうなんだろう?要するに「想像していた未来は、既に過ぎ去ってしまった」ということですよね。今の若者からすれば「昔の人が考えた未来」。2010年代を迎えても、輝かしい未来が訪れていないという郷愁のような・・・。
自分は、21世紀になった頃「思ったよりも地味な未来を生きることになる」と考えていたことを思い出します。しかし、慎重に考えてみれば、高層建築や高速移動手段よりももっと楽しい未来を、みんなで考え始めているというだけなんですよね。テレビ電話も、昔はもっと大げさなものを考えていましたが、今はみんなが手中に収める大きさになっている。移動しなくてもドローンが運んできてくれる。時代の流れに少なからず自分も感化され(また、自分が田舎暮らしを選択していることも含め)、小松崎氏の絵とは違うけれど、田園風景に未来を感じるようになってきたんです。















