ロニー・ジョーダンその後
歴史を辿りながら音楽を聴くのは、この上ない楽しみのひとつである。ましてや、そのミュージシャンが同世代であれば尚更の事。ロニー・ジョーダン・・・懐かしいと思われる方も多いと思う。1991年にマイルス・デイビスの「So What」を打ち込みのドラムと彼のギターで再現し、アシッド・ジャズと呼ばれる流れを作った中心的存在だった人物である。そろそろ、ロックを聴く耳ではなくなってきた僕、或いは多くの同世代には、ちょっと背伸びをする感覚と、最先端的なイメージで受け入れられた様に思う。ギターの音色・奏法だけを見れば、ウエス・モンゴメリー〜ジョージ・ベンソンが思い浮かぶのだが、そういう言い方をすると往年のジャズやフュージョン・ファンには怒られそうな感じもする。デビュー・アルバム「THE ANTIDOTE」を六本木のWAVEで、2780円で買ったのを憶えている。輸入盤にしては強気の価格設定に、逆に大きな流れを作ろうとする意気込みが感じられたのだった。そして15年が過ぎて、彼はどうしているのか報告します・・知りたくないか。僕はアルバムが出るたびにとりあえず買ってきた。(レンタル出来ないジャンルの音楽だし、すぐに手に入らなくなってしまう場合が多い)自分の創作活動と並行して、どのように変化するのか観察するのが好きなのだ。ああ、そう来たか!と唸ってみたり、悩んでみたり。アシッド・ジャズのカテゴリーに居座っていた多くのミュージシャンが姿を見せなくなる中で、彼は十分に健闘している。2000年にはブルーノートとも契約し、2枚のアルバムを発表。しかしその後、ソニー、N-CODED MUSICと渡り歩いている。最新アルバム「After 8」(だ、ダサ〜写真右下)では、ジャケットの背後に女性を侍らせ、LEON系のオヤジに成長?した事を強烈にアピールしている。何で?ストリート・カルチャーから発信された音楽であった筈が、15年でサウンドもかなりゴージャスに、そのストリートを見下ろすかの様・・・!リッチ&スムース・・・いいアルバムなんですけどね。複雑な心境だが、自分はこういうオヤジにならない様、初心を忘れない様にします。そういう意味では、イイタイトルですね。「自分にはアフター8はない」ということで。そもそも、何なのでしょうか・・アフター8!
個人的に思い入れが深いのは、1994年、セカンドからのシングル「Come With Me 」。タニア・マリアのヒット曲を蘇らせています。あれからもう12年か〜早いです。それから、彼名義ではないけど、客演が光るGURU-JAZZMATAZZの中の一曲「NO TIME TO PLAY」。こちらはD.C.リー(!)のヴォーカルも最高です。
サエキ末
2006/02/09 01:14
しずらいな・・それはないか。。
アシッド・ジャズもいつの間にか、フュージョンという言葉を
追い抜いて風化してしまった感じですね。何でかな。。
結局、方法論的には新しくなかったので、旧盤の再発やオリジナル盤レコードの高騰に拍車がかかったちゅう感じなんですかね。お蔭で良い思いをした一人ですが、、
ブームや音楽ジャンルを飛び越えて、自分自身がジャンルに
なるくらいじゃないとやっぱね・・ウェスやジョーベンみたいに。しかし・・「アフター8」かぁ~。。
買うのに勇気がいるCDタイトルだな。
マティック
2006/02/09 17:41
アシッド・ジャズは、最近、再燃していたり、再発されていたりしますね。こういうサイクルも速い。小さな世界での話でしょうけど。しかし・・方法論的には新しくなかったんですね。サエキ末さんは現代音楽に詳しいからそういう観点なんでしょうね。世代が新しくなるごとに、大物感というか、器が小さくなっていきますね。これはどの世界でも同じ様に思います。美空ひばりの様な存在が出てこない、という感じで。アフター8、是非聴いて下さいね!
酩酊オヤジ
2008/11/05 00:15
と高価でしたが、数日後の中近東への出張へこれも¥5万近く
出したソニーの携帯CDプレーヤーと持参して、娯楽のない
所で楽しみました。 30年以上ジャズを聴いていますが、
ロニージョーダンは早弾きを目玉にする訳でもなく、ブルース
を丸出しにする訳でもなく、非常に音色がきれいで好感が持てます。
マティック
2008/11/06 01:41
えっ!マレーシアからですか!?有難うございます。30年以上聴き続けている方にとっても、ロニー・ジョーダンは魅力的なんですね。何だか嬉しいです。ガチガチのジャズ喫茶などでは一発で敬遠されそうなキャラクターなので・・・。
おっしゃる通り、非常に聴きやすいギターですよね。これからの活動にも期待しています。