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date 2011.10.20
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視覚化しよう

視覚化しよう

気がつけば若い世代に何かを教えなくてはいけない年齢になっている。ポスターに使用される事を前提に、好きな映画のイラストを描かせてみた・・・。昔は「イラストでしか表現出来ないこと」がもっと明確にあって・・・映画には全く現れないシーンでも、その印象をシンボリックにまとめあげた優れたポスターが沢山あった。キューブリックの「博士の異常な愛情」などは、もの凄く上手い(映画も無茶苦茶イイ)。しかし、現在の若者はというと・・・完璧にサンプリング世代と化している。オフィシャルの写真ポスターをトレースしたり、配置しなおしたり・・・・という程度で終わる事が多い。デザイナーがテハイナー(手配なー)と呼ばれている時期もあったが、実質、何も作り出せていない状況は、かなり問題だと思う。目に見えない何か?も大切だろうけど、視覚化しようよ!何か、新しいものを作ろう。或いは昔からあるものを蘇らせよう。という気迫がないと。こういう意見は、キレイごとではなく、まずは自分のために言っている。何故なら、僕は受注される側だから、デザイナー側のビジョンが前向きに膨らんでくれないと、イラストが描けなくなってしまうのだ。保守的で地味な世の中になってしまったが、こんな無理な注文してもイイですか?こんなの描けますか?と・・・若い人から依頼が来るのを待っている。その時のために周到に準備はしてきたつもり。勿論、待ちの姿勢ではなく、こちらからも営業に出かけなくてはいけないんですが。

Comments: 13 comments

  1. 「・・・完璧にサンプリング世代と化している。オフィシャルの写真ポスターをトレースしたり、配置しなおしたり・・・・」
    なるほど。最近は,何でもそれなりに作れてしまうからでしょうか?私の20代のころは,アナログで作っていくほうが多かったので,アナログだとトレースや配置直しがとても面倒。だから,自分で手を動かして考えることが多かったですね。便利な世の中になってきたなぁと思っていましたが,最近は逆に,自分で考えることが少なくなっているのでしょうかね。
    ・・・ということを,この記事を読みながら思いました。ありがとうございます。
  2. とうぼう

    環境の問題もあると思う。ふるいにかけられてしっかりした気持ちでこの仕事選んだ者と、何となくとの違いもあるのでは?あまり深く考えない方がいいのでは、いつかこんなやつがいたたんだということありかも!
  3. マティックさん、ご無沙汰しています。お元気ですか?
    マティックさんが書かれているような事を最近とても意識するようになっていて思わずグっと引き込まれて読ませていただきました

    ついこの前も新しく始まった仕事に参加し始めたのですが、仕事のオーダーがエフェクトソフトやプラグインや素材集をふんだんに使うように言われ、色々用意されているのですが、、、
    確かにソフトも使う人によって色々な表現は可能なのですが、それは狭い目で見た場合の話しだよな~と思うのです。

    もちろん素材集やエフェクトソフトを使いながらも自分で考え出したデザインの飾りつけ程度に使おうとは思っているのですが、人が作り出すことよりプログラムが主役なのが前提のような感じがあり、とても違和感があるのです。

    作品集を見せて参加することになった仕事なのですが、「それ、もしかして誰でもいいんじゃ?」と思ってしまう「ありもの使い」が顕著な注文に早々にガックリしていたところ、マティックさんの記事を見て「こういう風に考えている人だってちゃんと居る」と思い、少し元気が出ました。
  4. ohtematic

    きはらごうさん→
    コメント有り難うございます。若者の好奇心はネット社会の依存によって、「狭い幅」の中でしか機能しなくなってしまったんですよね。自分の実力とソフトの性能の区別がつかなかったり。おっしゃる通り、アナログの経験があれば比較して、ここから先はデジタルの危険なポイントという認識が生まれる筈ですけれど。7月20日付けの南日本新聞「南点」で、「好奇心の振り幅」というタイトルで800字ほど書いていますので、もしご興味があれば読んでみてください〜。
    とうぼうさん→
    そうなんですよね!背水の陣で仕事をしている人と、サイドビジネスでやっている人では覚悟が違う。当然、出てくるものも絶対に違う筈です。「いつかこんなやつがいたんだ」というのは・・・?自分をクラシック化してしまうという事でしょうか。最近、イラストレーターの最後の世代かも知れないと、本気で思う様になっています。
    Lavazzaさん→
    ご無沙汰しております。コメント有り難うございます。お陰様で元気です!
    Lavazzaさんが今ぶつかっている問題、痛い程解ります。素材集やエフェクトに見慣れてしまって、「少なくとも失敗はしないんじゃないか」という現状維持派が増えているのかな。専門学校では、文字のドロップシャドウを未だに使う学生がいて「使うな」と言っています。「デザイン業界自体が地味な存在に見えつつあるのかも知れないけれども、ポスターやCMって、もっと輝いていましたよね。デザイナーが単なるオペレーターになってしまったという話は良く聞きます。デザインに携わっているみんなの意識が変わって行けばいいのですが。どうなんでしょう。難しい時代ですが、CGもいいけどやっぱり特撮だよな」という感覚に立ち戻る空気も感じています。
  5. ごぶさたしてます。
    ここ数年は特にグラフィックデザインに興味が持てなく…というよりひどく退屈に見えてしまって。
    何故でしょうね、確信してるのはそれが自分の加齢と無関係だということ。
    ポストモダン(あるいはニューウェイヴ)→タイポ革命→モダニズムルネッサンス※→何でしょうね?
    今はいろんなものが、モダンデザインの残り香(余韻)でやりくりしているように見えて
    どうにもワクワクしません。たしかにイームズの再発見に端を発したモダンデザインは掘り起こされる度に瑞々しくてシャープ且つウォーム。……あれっ?ポストモダンのちょっと後にアールデコってちょい流行ったような〜
    すいません思い返しを書いてみました。
    ドロップシャドウ問題。ありますね〜それは文字斜め置き問題でもあります。

    模写って大切ですね〜(プロセスのなぞり)
    音楽・映像系のサンプリングには対象への愛情があるように思います(良くいえば)
    音楽や映像のサンプリングと問題の根の深さがちがうような

    サンプリング世代というよりコピペ世代ですね。

    ※モダニズムルネッサンス=勝手に名付けました。

    上手く文章にまとめられませんでした。
  6. ohtematic

    しばさん→
    ご無沙汰しております〜!
    加齢と無関係に退屈・・・というのは勇気づけられる発言です。イラストの場合、年齢とともに自分の感性がクラシック化してしまう様な恐怖がいつもつきまとっています。そうなったらなったでイイのかも知れませんが、まだちょっと早い。震災以降は、しば氏がおっしゃっている様なポストモダンとかイームズとか・・・そういう流れが意味を持たなくなってしまう感覚もあります。少し前に東京の人が「これまでカッコイイと思っていたものがそうでなくなってしまった」と言っていました。今、グッと来るものは何か!自分なりに答えは持っていますが、これは・・・この場ではなく、何らかのカタチにして発表したいです。作り手としては、とにかくワクワク感を創出したい。表面的ではなく、誰もが納得する様な。ヒップホップの引用とグラフィックの引用では、確かに後者の方が軽いですね。全く自意識がない。自覚がなくて意味のないグラフィックが溢れてしまった!何でもかんでも写真と説明文を入れまくって・・・スーパーのチラシの方がずっとカッコイイ。どうしましょう!
  7. 『これまでカッコイイと思っていたものが〜』なんですが、
    本当はそれ初見の瞬間にほんの少し「それホントにカッコイイかぁ?」たとえるなら
    蒸しパンの剥がし残りの紙もいっしょに食べてる感じ位の違和感(吐き出すほどでない)
    を持ってたんじゃないかって思います。

    チラシもかなり日本人的な進化を遂げているように思います。
    海外のスーパーのチラシの潔さときたら!
    『あ〜、これでもいいんだ。しかもこっちのほうがPOPだし』と衝撃をうけました。
    :特に地方のデザイナーにとってスーパー系のチラシ仕事はわりとメインに近いので…

    個人的にはクライアントなしのGデザイナー作品集ほどつまらんものは無い!
    (洋邦問わず&自省も含めて)なんだろ?あの薄っぺらい精神性は
  8. 精神性?いや、なんだろう?緊張感?
    ああいうの見るとGデザイナーの立ち位置がやけにくっきりと見えてくるから不思議。
    イラストレーターとはだいぶ質が異なる。

    急に「精神性」なんて言葉を書いて恥ずかしくなってしまいました。
  9. ohtematic

    しば氏→
    グラフィックデザイナーについては、クライアントがいると本当にいいものを作り出せるのに、それがなくなった途端、「?」になってしまう方はいらっしゃいますね。イラストレーターも同じなんですけどね。個展でも、仕事と同じ作品を描いてしまったり。先日の「ウイークエンド・シャッフル」で宇田丸と三池監督の対談がありましたが、ああいう姿勢が僕は一番近いかな。スピルバーグ的に何でも撮る。個性は、いろんな成果が並べられた中の共通項だと思う様にしています。精神性がある様に見せかけるのは、一番の罪ですね。それが最も浅い表現だと思います。難しい言い回しですけれども・・・。
  10. 『〜げ』問題ですよね!
    ほんとアレはタチが悪い!
    でも、そういうの予告編や宣伝用のスチルからでもバンバン醸してますよね〜
    不思議。
  11. ohtematic

    しば氏→
    「〜げ」問題・・・って?日本人の「わざとらしい感動」にすがるような気質は、どうにかならないものでしょうか。作り手の側から積極的に無くしていかないと・・・。
  12. アレです。「良い事を言っているげ」「面白げ」「深いことを言っているげ」
    ってヤツです。
    感じにすると「気」なんですけど、カタカナでも解りにくいですね。
  13. ohtematic

    しば氏→
    了解です。ドイツ風ハンバーグとか?ドイツげ?結局、自分のところのやり方って事だよね。