日岡兼三展@高鍋町美術館
前回、前々回からの続きです。
タクシーの窓から見る高鍋町の風景は、随分と暮らしやすい印象がありました。美術館周辺も、古いお堀の跡に囲まれた農業高校があり、風情のある地域でした。そんな中にひっそりと佇む高鍋町美術館。程よい大きさで、こんな美術館が自分の町にもあったらな〜と眺めてしまいました。
そして日岡兼三氏の展覧会です。実はまったく知らない作家・・・初めての街で初めての作家、というのは・・・東京の中心部で見る著名な作家の展覧会よりも、自分にとってはワクワクします。作品に込められている物語、地域の方に染み込んでいる意識などが手に取るように伝わってくるからでしょうか。写真を見ていただければわかるように、この人は何者なのだろうか?という幅広い作風。CGもありました。実際に「画壇のトリックスター」と呼ばれていたと、フライヤーには記されていました。ひとつの作風、技法に縛られて(少なくともこちらから見ると)苦しんでいる作家をよく見かけますが、日岡氏はそういう悩みからは解放されており、出来ることはすべて試し、表現し続けたことが伺えました。自分もこの年齢になってくると、人生を俯瞰で見るとどうなるのだろうか?と、余生の作品スタイルについて考えることが多くなりました。大げさですけどね・・。
余談:
美術館の中心で熱心にメモをとっている方がいらっしゃったのですが、美術館を二周したところで目が合い「大寺先生ですか」と声をかけられました。何と10年ぶりくらい?に出会う後輩のイラストレーターでビックリ。彼女は、僕が鹿児島に来てしばらく経った頃に、わざわざ宮崎から「作品を見て欲しい」とはるばる鹿児島までやってきたことがあるんです。そこまで真剣な姿勢はごくごく稀なので、こちらも正直に、厳しく意見したところ泣かせてしまったことがありました。偶然にも、日岡氏は彼女の恩師だったということで更に驚きました。既に他界している日岡氏のことを、葬儀には辛すぎて行けなかったと・・・涙ながらに語っていました。そんなわけで彼女の泣き顔を、またも見ることになってしまったんです。
Hammer
2015/10/27 21:49
「大きな旅の収穫」の一端を垣間見た気がします、、、
「俯瞰で見る」というのはこれからの大きなテーマですよね(勿論私もですが)。
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つい先ほど生頼範義氏が亡くなったとの一報が、、、
大変残念です、、ご冥福をお祈りします。
ohtematic
2015/10/29 06:11