山形屋へ
久しぶりに、鹿児島では最も歴史のある百貨店「山形屋」バスセンター行きのバスに乗った。家から200メートル程離れたバス停から、一日に2本だけの運行だ。乗車時間は1時間20分ほどで、料金は680円。乗客は最初は僕ひとり。途中、何組かのおばあさんが乗ったり降りたり。バス停でない場所でも、強引に手を挙げてバスを止めたおばあさんもいた。タクシー代わりだ。どう考えても採算がとれていない路線だが、県からの補助金がおりているのだと思う。古い車体で、シャンデリア風の照明が懐かしい感じ。窓枠はさび付いて、ガラスも水垢で曇っている=ご覧のとおりのソフトフォーカス。窓の外の景色は、普段見慣れた所を走っても視線が高くなるので、退屈はしない。家庭菜園を手入れしている人、牛舎、滝。小高い丘で「時間調整のため停車します」とのアナウンス。速く走りすぎたのか・・。そんなバスでの小旅行を体験していると、自分はこのままタイムスリップして、2005年に戻れなくなる気持ちにさえなってくる。長嶋有の単行本を開いたが、殆ど読み進めることもなく、眠りに落ちてしまった。目覚めたのは「終点です」とのアナウンス、急に活気のある街に放り出されて、旅は終了。