前田さんの世界(前編)
6月10日、日吉町にある老舗のお菓子屋さん「前田家」のご主人、前田晋作さんが、日置郵便局のホールで蓄音機によるコンサートを開きました。定員は30名だったので、大々的に宣伝は出来ませんでした。終わってからの報告でスミマセン。そのホールには、前田さんが鹿児島の各地を廻って手に入れたホーローの看板が飾られており、会場に入った瞬間から「前田ワールド」に引き込まれてしまいました。蓄音機2台を使い、元祖DJとも言える手つきで、用意した曲を次々にプレイ!録音状態によって竹針と鉄針を交換したり、機械油を差しながら慣れた仕草でゼンマイ(?)を巻いたりと、見ているだけでもかなり楽しい。前田さんの奥様の巧みな解説により、軍歌、流行歌、ジャズ、黒人霊歌などが次々に演奏されました。中でも一番心に突き刺さったのはフランク永井による「有楽町で逢いましょう」でした。何が突き刺さったのかと言えば、彼の歌声(録音状態)と蓄音機のマッチングがドンピシャで、何やら「情念」の様なオーラが伝わって来たのです。この歌の意味を初めて理解出来ました。「逢いましょう」と言ってはいるものの、半ば恐喝の様な勢いを感じることが出来ました、その台詞に込められた恐ろしいまでの気迫・・・。これでは有楽町に行かざるを得ないだろうな・・と。こういう歌って、今では存在意義がないでしょうね、そもそも、音楽自体が今よりも重たい文化だったと思います。この50年ほどで失われたものが一気に体に染み渡る瞬間でした。
KOOKI
2005/06/11 18:30
数年前、偶然、お店のディスプレイが、お菓子屋さんらしくないので中を覗いて、前田さんの蓄音機のコレクションの存在を知りました。「有楽町で逢いましょう」も聞かせていただきました。竹針の蓄音機だったと思いますが、ほんと、突き刺さりますよね。いい思い出です。
マティック
2005/06/12 12:42