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date 2005.6.17
category living
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821b


渋谷に住んでいた頃の話。ある日、換気をしようと部屋の窓を開けると、一匹のハチが舞い込んできた(東京では、部屋の中の空気が一番キレイと言われており、事実上、換気にはリスクが伴う、ハチは例外的リスク)。「これはやっかいな事になったな」と思うが、なかなか出て行ってくれない。殺虫剤もないし、まあ、しばらくすれば自然死するだろう。と放っておいた。ところが、次の日になっても、その次の日になっても、決まった場所でくつろいでいるではないか。3日もたつと、たかが昆虫とはいえ、情が移ってしまう。恐る恐る、頭をなでてみた。オーケイだ。調子に乗って、肩に乗せてみた。「こいつ、気持ちよさそうにしているな」と思いながら、そのまま部屋を出た。ハチを肩に乗せた男・・。自分でもおかしくなったが、ハチが小さいので誰にも気づかれない。「渋谷では花にも巡り会えないだろうし、どこかに逃がしてやろう」そう思った。仕事もあまり忙しくなかったので、とりあえず田園都市線に乗ってみた。「あざみ野」で降りよう、いかにも花が咲いていそうな駅名じゃないか。乗車時間は30分ちょっとだったと思う。ハチと一緒に電車を降りて、しばらく歩いた。土地勘も働かないので、適当に。何と、劇団四季の本社があるんですね、あざみ野には。別に四季のファンではないのだが、その本社に偶然たどり着いた。八分咲きの桜並木が続いていたので、「おい、ここでお別れだぞ」と言い、ハチを肩から振り払った。桜の花がそのハチにとって美味しいのか、そうでないのか知る由もなかったが、お別れの場面としてふさわしいかなと。ハチは空中でこちらを振り返りながら(振り返ったかの様に見えただけですが)、一直線に飛んでいった。
***
それから2-3日して、休日だというのに郵便配達のおじさんが呼び鈴を鳴らした。小包を受け取った。差出人の名前がなかったので、恐る恐る包装紙をほどいてみた。何と、中から出てきたのは蜂蜜入りの瓶だった。
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Comments: 3 comments

  1. ハチの恩返し。
  2. clusterさん、反応早いですね、アップしてすぐにコメントがあったのでビックリしました。
    失礼ですが、clusterさんとユカリンさんは同一人物なのでしょうか・・?
  3. はい、ユカリンです(笑)。最近blogを始めたので、ついそのHNにしてしまいました。(無意識って怖いですね~。)
    ちなみに私は池尻大橋に住んでいました。246が目の前を走っていました。