夏休み
夏休みの匂いが漂っている。山が吐き出す酸素と、潮風が混ざった独特の香り。この刺激に気持ちが吸い込まれ、遠い記憶が呼び起こされるのである。自分の歴史を振り返るとき、都合のいい想い出は拡大され、そうでないものは消去されたり、縮めたりする。夏休みの絵日記は、想い出が多すぎて、それを1ページにまとめることなど不可能だった。最初から諦めて、適当に描いた日の方が多いくらいだ(ウソも書いた)。今、抱えている仕事は、その記憶の穴を埋める作業なのか。
個人の記憶が曖昧であるから、それを積み重ねた人類の歴史は、教科書の様にきっちりしたものではなく、ぼよ〜んとしたものだと思う。その曖昧さを教えた方が平和になるかも知れない。
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写真は、隣のおじさんから頂いたスイカです。