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date 2006.12.16
category living
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ある画家の個展


先日、ある画家の個展を見た。画家として活動して50年、その軌跡を一望できる展覧会であった。初期の頃は鮮やかな色遣いの抽象形態が多い、動きのある画面。最近の作品になると、女体をモチーフにしていて、静かな画面。絵は、描き続けていれば、ほぼ間違いなく本人の中では進化し続けるものだ。人に何と言われようとも。スポーツの場合は体力の限界などで引退を迫られるが、そういう意味での終わりはない。画家の人生の中で、幾度か変化は訪れるだろう。その変化の、「どの時期が好きか」というのは、勿論観る側に委ねられているのだが、前述したように、画家本人から観れば、最新作が最高作である筈だ。今回個展を開いた彼は、結局、女体に行き着いた。そういうケースは、よくある事かも知れない。僕には、若い頃の作品が良く見え、最近のものは「勘違い」している様に見える。自分はどうだろうか?やはり年老いて、女体を描いてしまうのだろうか・・・可能性は低いと思う。女体に興味がないと言えばウソになるが、女体を描くことよりも「新しい景色」を描いていった方が楽しそうだ。得るものが大きい。ということは・・・「何かを失いたい時」には、女体を選べば間違いないのかも知れない。自分のリミットが解ったときは、精神を縮小していくという意味で、女体を描いてしまうのか。あるいは、次の人生に対して自らを母体に帰還させるのか。

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