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date 2005.6.3
category living
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検証 地方がヘンだ!


2ヶ月ほど前に買い、一気に読んでしまった。地方に住む者としては興味深い一冊。最近、増えている地方での凶悪事件の幾つかを、地図をベースに検証している。事件の起きる背景には、必ずと言っていいほど、大型電気店やショッピングモールなどが存在する。著者は、そうした大型店舗の存在が生活スタイルの幅を無くし、人生そのものの選択肢を少なくする原因と見ている。結果として夢がなくなり、犯罪が起きるのである。「日本列島改造論」から30年、日本は何を失ってきたのか、興味深い記事が続く。ファスト風土・・というのはまったくもって上手いコピーだと思う。
鹿児島に移り住んで6年目に入ったが、東京で生活している頃と、食生活を初めとして考え方が変わった。もし、大型ショッピングモールがある様な地方都市で暮らしていれば、違う意味で淋しい思いをしたであろう。
もし、これから田舎暮らしを始めるのなら、不便を承知で本当の田舎を選ぶべきである。
いつも思うのは、何かを選択する時に、自分の意志がきちんと働いているのか、ということ。知らず知らず、「考えなくても暮らせる社会」の一員になってしまわない様に。

Comments: 2 comments

  1. トーマス

    面白そうな本ですね。
    真っ先に思い出したのが、
    島田雅彦がいう所の、「郊外」
    「ショートケーキハウス」、という言葉です。
    上京してきて、そこで家族を持ち、「郊外」に
    新しい街が形成される。そこ(郊外)は、
    養老猛のいう所の、『人間の頭の中の世界』
    (人間が作ったものばっかり!)で、そこで
    育った子供に絵を描かせると、写実的な絵にならず、
    記号的な絵になるといいます。
    犯罪の質が貧困を背景にしたものから、
    愉快犯的なものに変わりましたね。
    養老先生は一日一回は、人間が作ったものではないもの
    を観るといいとおっしゃていました。
  2. この本の中では、東京よりも地方の方がヴァーチャル社会、という話も出てきます。人工的な場所で暮らしたり、自然の中で暮らしたり、という場所の問題よりも、社会に対してどれだけ疑問を持っているかという部分が大切なのかも知れません。