昨年読んだ本
写真手前は、1992年に筑摩書房より刊行された「THE ENDLESS TALKING」の再編集版で、昨年刊行された「細野晴臣インタビューTHE ENDLESS TALKING」(平凡社ライブラリー)です。音楽評論家北中正和氏によるインタビューが中心。細野晴臣との出会い、言うまでもなく僕らはYMOジャストミート世代なので、1978年頃の事になります。中学、高校はどっぷりとYMO。並行して、彼の以前の活動にも目を向けることに。「はっぴいえんど」と、ソロ三部作「トロピカル・ダンディ」「泰安洋行」「はらいそ」など。その後もずっと追い続けるが「Omni Sight Seeing」(1989)あたりを最後に、、僕の中で細野氏はちょっと遠ざかってしまう。しかし「N.D.E」(1995)「Swing Slow」(1996)あたりからまたまた復活。聴き逃していた数年の活動を必死で追いかけるようになった。現在の「Sketch Show」も勿論好きで、聴いています。(自分の中では常に中心的存在ですが)YMO以降は文化の中心〜最先端にいながらも意識的に前に出て行かない姿勢を保っている様に思えます。この本では陳腐な最近の(日本の)音楽事情を批判する場面もあり、心地よかったです。
写真奥は、最近出版された「アンビエント・ドライヴァー」(発行マーブルトロン・発売中央公論新社)ですが、アマゾンの奥地から届いたばかりで実は未読。こちらはインタビューではなく、細野氏本人による文章です。生意気+伊藤桂司による装幀・装画も気合いが入っており、綺麗な一冊(テキストも全て特色印刷)。
はっぴいえんどの「路地裏感」から「エキゾチック」へ、そして、ディスコ・フュージョンとしてのYMO、アンビエント、肉体演奏への回帰「ハリーアンドマック」・・・。どれもが細野氏の中で有機的に繋がり、どれを聴いても共通して心地よい旅の気分を味わう事が出来る。アンビエント・ドライヴァーというのはちょっと謙虚な言い方で、ドライブそのもの、音楽そのものと言った存在になりつつあると思います。
テディ
2007/01/24 19:27
学生運動盛んな頃、音楽は政治の道具
みたいになっていましたが、氏は無関心を
貫きました。
「音楽は政治ではない。風流韻事だ」という
氏の心的態度に貴族性を感じます。
幻SHOTGUN
2007/01/24 23:51
がナチュラルでカッチョイイすな。。無理して無い感じで。
はっぴえんど・・時代と個人の喪失感のクロスオーバーイレブンが、今聴いても遣る瀬無くってたまらんすな。
去年、東京でやったジャグバンドのフェスティバルにも
スーっと現れて、プロ、アマチュアの人に混じってベースとマリンバ叩いてたりして。軽いフットワークも素敵です。
ベース弾かせたら未だに日本でナンバー1ですな。
マティック
2007/01/25 08:57
風流韻事の発言は初めて聞きましたが、確かに権力の側につくのではなく、ネイティブ側の素朴な思想から影響を受けている作品が多いと思います。一番魅力的なのは大衆性を忘れていないことですね。芸術家気取りがない。
幻SHOTGUNさん→
毎度、違う名前でのコメント有り難うございます。これだけ変化し続けている音楽家も珍しいですよね。しかし核にあるのは揺るぎない細野さんの真摯な姿勢で、結局は聴き手がそれを信頼しているという構図なんだと思います。