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date 2010.10.28
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感性は県境を越えるか

感性は県境を越えるか

今日、ギャラリー内で話題になったので忘れないうちに書いておこう。この手の話は、最近よく持ち上がるし、自分からも機会があれば話すようにしている。「田舎には何もないので」→「都会に出て自己実現する」というスタイルは、若者の間であまり意味を持たなくなってきている様だ。「ここには何もない」というコンプレックスは、ニューヨークの住人以外は世界中の人が感じている、という話を、とある建築家の方から聞いたことがある。そうかも知れない。だけど「都会に出なさい」と言っているのは僕たちの世代よりも上で、若い世代の中では確実に「地元で誇りを持って暮らす」というスタイルに価値を見いだそうとする動きがある。インターネット社会が成熟してきた事を物語っている。僕がいつも言っている「田舎コンプレックスを感じない方法」は「軸足を地域に置きつつ、県外、海外の仕事を引き受ける」というスタイルだ。農畜産業に従事している方、あるいは焼酎を造っている方達には、当たり前の事だ。鹿児島で作られた野菜や肉、焼酎は美味しいのでいとも簡単に県境を超える。しかしデザインの世界ではどうだ?殆どみんなが県内に固執している。勝手に、自分のセンスに県境を設けているだけなのではないだろうか?どんどん県外や海外に営業に出て、外貨を獲得すればいい。農畜産物と同様、鹿児島の優れたデザインが全国に広まることを期待している。そうした事例が積み重ならなければ、都会へのコンプレックスと闘う日常から逃れることは出来ない。(写真は本日のギャラリーからの帰り道。あまりの美しさに、高速走行しながらシャッターを切りまくった!)

Comments: 12 comments

  1. 勝手に自分のセンスに県境を設けている。
    まさに自分のことだなぁ・・・と思ってしまいました。

    農畜産物はとっくの昔に県境を超えて外貨を得ているのに、
    イラストレーションやデザインが県境を超えられないわけがないですものね。
    ・・・はっとしました。
  2. ダーンサ

    大いに賛成!
    でも「県」というよりは「地域」とぼんやりさせた感じがニュアンス近い。
    海外の仕事なんかは広く「日本」のセンスでもいいと思う。
    「三重県出身なので、、、」とか言っても外人がわかるわけがないし。
    都会はどこも同じ。田舎も、どの国も同じな気もする。
    「地域」か「お国柄」がピッタリくるとかな〜と。
  3. ohtematic

    kokakukkaさん→
    共感していただき有り難うございます。農畜産物はいとも簡単に県境を超えると書いてしまいましたが、やはり、それまでには想像もつかない先人達の努力があったんだろうと思います。中央集権になる以前は、各地域がもっと誇りを持っていたと思うんですが、知恵までが流出してしまった。デザインは、これからですね。鹿児島の中で萎縮する必要はまったくありません。kokakukkaさんの世代が切り開いて下さい!
    ダーンサさん→
    あらら、有り難うございます。また反対されると思っていたので嬉しいです!東京の感覚は、埼玉や千葉、神奈川・・・関東平野全体に広がっている感じがするけど(鹿児島では、羽田空港を利用する地域全体を東京と呼んでいます)、鹿児島にいると県境というものを物凄く感じます。熊本に行くのにひと山越えなきゃとかね。
  4. 「都会に行ってきなさい」と言われ大学で4年間東京に住んでいたので、田舎の良さが再認識できました。田舎しか見ていないとその良さの比較ができない。
    写真でも鹿児島県内で賞を取ろうと活動していたときはまずは、県大会からみたいな感じで枠を決めていました。
    でも、東京で写真を展示したときに、農業写真と言う分野は都会にこそ需要があることをギャラリーに来た人と話し実感しました。
    郡大会レベル、県大会レベル、九州大会レベル、全国体系レベルと中学高校で刷り込まれその枠を全てに適応させて考えるようになっているのでしょうね。

    農業マーケティング研修会の講師とかは、田舎コンプレックス丸出しで、都会から先生を連れてきています。理論と実戦をしている人が近くにいるのにそこに目を向けようとしない実体があります。
  5. はじめまして。
    昨日の空は本当にきれいでした。
    私も刻々と変わる色に惜しみながら携帯の画像に残しました。
    帰り道、夕焼けが背中側。
    逆方向へ帰る人が羨ましいくらい。
  6. ohtematic

    アグリさん→
    そうですね。問題になっているのは、都会に勉学で行って、そのまま定住する人たちです。やはり故郷に戻って、吸収したものを地域のために活かさないと。都会から先生を連れてくるという話も、ありがちですね。農業については、食糧自給率が全国で2位という結果からも分かる通り、こちらが先進なんですよね。とにかく、自分の暮らしている地域から、全国的に見て価値のある人を客観視できるセンスが問われていますよね。
    rie24さん→
    コメント有り難うございます。僕は薩摩川内市から日置市に戻りましたので、夕陽に向かって走る感覚でした。日置市はその名の通り、夕陽が沈む場所ですからね。気持ち良かったです。
  7. いろいろなデザインのスタイルがありますね。
    自分のやり方が見えてくる年齢になると、鹿児島でデザインやイラストのお仕事をやっていく醍醐味も見えてくるような気がしてます。

    デザイナーとしては、地域外の仕事を受けるという方法とは別に、「越境してゆくクライアントをこっちから押しだす」という立ち位置(役割)もありかと思います。地域外の人に自分たちの暮らす地域で生まれたものをどう伝えるか、デザイナーがまわす経済よりもめぐり巡って非常に大きな経済の循環になります。
    そんなことを意識しているクライアントさんは、組んでいて非常に「鹿児島っぽくない」感性をお持ちです。こちらが鍛えられます。

    よく地域外の先生をお呼びして…地元のお仕事をどどーんと、っていうのがあるじゃないですか。あれを地道になんとかしたいんですね、私。
    いや、体力がちがうんで手に負えないんですけどね。つまりまだまだ力不足を痛いほどに感じるばかりでして…。偉そうな事言えない現在です。
    地道過ぎて非常に地味なんですけど…こつこつと経験値(仕事)積みながらいきますので、今後ともよろしくおねがいします。
  8. ohtematic

    はなさん→
    文章から、次のステージに登っている感じが伝わってきます。昨年あたりから特に、鹿児島の周辺が変わってきましたよね。東京からの動きがあったり、地元では若い世代が急速に育ちつつある様な気もしますし。ここで、もう一度冷静になって、はなさんのおっしゃる「越境してゆくクライアントをこっちから押しだす」という具体例が増えてくれば本当に変わると思います。地域外からの企画は、善意で動いていても「都合のいい時だけ鹿児島を利用している」という誤解が生まれると思うんです。僕も、何だかんだで「よそモノ」と言われた事がありました。ですから、鹿児島の抱えている最先端感や価値を、はなさんの様な鹿児島の方達が(ある意味地元に媚びない)揺るぎない姿勢で県外の方たちと協力や交渉をする事が求められていると思います。やはり、鹿児島は住みやすいし生活水準も高いので、放っておくとズンダレてしまうんですよね。僕も地味に経験値を上げていきます!(濃いですねこの話題)
  9. 鹿児島はたしかに暮らしやすいので、私もズンダレて働く欲を捨てそうになります。
    温かい地域は、とりあえず食べてはいけますからね。
    心のどこかにいつかはそうなりたい…なんて思いも…。

    表には見えないけれど、デザイナーという職種の人だけではなく、関係なさそうな職種の人が「デザインもご提案しますよ」と言ってどんどん地域外に持って行ってる、というのが現状です。
    デザインのことだけ、デザイナーがどこから来たかだけを見て一喜一憂していたらすごく危険、とも思います。
    ああ、すみません、つい熱く補足してしましました。続きはお会いした時にでも…!
  10. 鹿児島にコンプレックスを感じるかプライドを感じるかは、もしかしたら鹿児島県人の私たちがどれだけ鹿児島のことを知っているかということにも置き換えられるかも知れないですね。鹿児島の中にだけいたら本当の良さは分かりにくい。一度、外に出たら良いところも悪いところも客観的に見えてくる。だから、鹿児島県人はもっともっと外に出てみると良いと思います。
  11. 本日はありがとうございました。いろいろなお話が聞けてとても楽しい時間を過ごさせていただきました (^^)。
    あくまでも私見ですが、鹿児島はまだ閉鎖的な感があります。同業者間は繋がりが薄く、県外とは意外に仲が良い…。←仕事の絶対量のせいもあるのかも知れませんが、横の繋がりが広がっていくと、もっともっと楽しくなるような気がします。
  12. ohtematic

    はなさん→
    昨日はどうも有り難うございました!対外的にアピールする方法は幾つかあった方がいいんでしょうけど、「関係なさそうな職種の人」って?昨日、結局、続きをお話するのを忘れてしまいました。基本的には心配していませんが「ある特別なイメージ」で見られるとかえって危険。「誤解が誤解を生む」くらいの地域に成長して欲しいですね。
    徳丸洋子さん→
    コメント有り難うございます。そうですね、客観視出来る体験と知識は必要なのかも知れません。外に出て、そのまま定住してしまうのがずっと問題になっていましたが、最近の若い人を見ているとそういう心配はなさそうですね。
    matusyuさん→
    こちらこそ有り難うございました。職種によって、地域と県外との繋がりが違うんでしょうね。同業者間の繋がりが薄く県外と仲がよい、というのは、webの世界ならではかも知れません。僕の見た感じだと、今回のネタ通り、逆に県内に拘っている人が多い様な気がします。