連載小説・昭和の高校生 第四回
(前回までのあらすじ)
牧夫から預かったテープに無事、録音を終えた薫子。
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「おーい!録音してきたゾ〜!」音楽室に向かう牧夫の背後から、大声で薫子が近づいて来た。耳元で「これが最後の一本だよ」とつぶやいた薫子に、牧夫はたじろいだ。手渡されたSA-Xは、薄手だがゴワゴワした紙で丁寧に梱包されていた。インドの香りがした(行ったことはないが)。「さあ、練習練習!」そう言いながら、薫子は牧夫を追い越して音楽室に入ってしまった。
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帰り道。薫子が利用しているバス停までの10分。思い切って薫子に聞いてみた。「これ、最後の一本なのか?」「そうよ。今まで、牧夫に録音してきた12本。今回が完結編!」12本も録音してもらっていたのか・・・今まで数えた事はなかった。一方、牧夫が薫子に録音したのは、わずかに2本だけであった。これは憶えている。「きっと牧夫には解らないと思う。でも最後。」これ以上聞くのは野暮だと思い、口をつぐんだ。しばらく沈黙があって「私、実は男なんだ!」と薫子が言った。何度読んでも頭に入らない推理小説の主役になった気分だった。きょとんとしている牧夫の額を、薫子は人差し指でポーンと突いた「信じてんの?バカね!でも半分は当たってる。私は、これまで、殆ど男性の専門だった領域に押し入ろうとしているんだよ。この高校生活で唯一、掴んだ事なんだ。自分が何に興味があるかって確信が持てた。これから、レコーディングエンジニアになる勉強を始めるよ。」「エンジニアって?」「ルディ・ヴァン・ゲルダーとかさ!」あっけにとられた牧夫は、黙って聞いているしかなかった。(ルディ・・・誰だよそれ・・・)
笛吹銅次
2006/10/06 20:14
Tessy
2006/10/06 21:51
なぞの転校生、幕末未来人。つぶやき岩の秘密、タイムトラベラー、
光瀬龍か、眉村卓、筒井か。
わたしの予想では、「未来からやってきた女子コーセー」ですね。
マティック
2006/10/06 22:13
ホントですねえ。もう、手が付けられない娘なんですよ・・・。
Tessyさん→
あまり深読みしないで下さいね。いきあたりばったりで、毎日書いているだけですから・・・。
アグリステーション鹿児島
2006/10/06 22:14
団地の1室から緑の手鏡のような機械を使って
異次元の団地に行ってしまうドラマをおっかな
びっり見ていました。題名も最後どうなったのか、
今では思い出せません。
マティック
2006/10/07 23:35
そのドラマは、Tessyさんがおっしゃっている、「NHK少年ドラマシリーズ」だと思われます。「なぞの転校生」でしょうね・・・。DVD、出ている様です、見直してみたらいかがでしょうか。
アグリステーション鹿児島
2006/10/09 08:58
裏の世界は、すべて同じように作ってあるのに
水道をひねると水が出ない・・・・・
DVD見てみたいと思います。