連載小説・昭和の高校生 第七回
テープの一件をきっかけに、牧夫の中では学生生活の何かが終わってしまった様だった。周りの友達も受験勉強を本格的に始めて、放課後、音楽室に行くことも少なくなってしまった。薫子とはクラスが違っていたし、帰る方向も反対だったので会話をする機会も減り、徐々に疎遠になっていった。最後のテープという言葉自体が恐ろしく、結局何も聞けないまま、牧夫は浪人生活に突入することになった。薫子は、友達づてに聞いた話だが、隣の街にある音楽学院に通うことになったらしい。専門学校なのか何なのか、そこまで確かめる気力は牧夫に残っていなかった。
今、自分に出来ることは何か。卒業式を間近に控えたある日、牧夫は自分の部屋にこもり、瞑想する様な姿勢で記憶を辿ってみた。「完結・・・最後・・・牧夫には理解出来ないと思う・・・・確か、こんなニュアンスの言葉だったな。何で12本で完結しなくてはいけないのか、それに、レコーディングの勉強をするんだったら録音する事自体は、勉学の妨げにはならない筈だ。薫子は何かを隠しているのだろうか。これまでの付き合いの中でも、不可解な行動が多かった彼女だからな・・・。」牧夫は、これから一年(いや、もしくは二年)・・・浪人生活を始める前に、薫子について気持ちの区切りをつけたくなっていた。「12本のテープの感想すら、ろくに伝えていない。まったく冴えない男だ・・・」牧夫は拳を握りしめた。
「ちょっと待てよ・・・!」思いついた様に、薫子から録音してもらったテープを引っ張り出した。引き出しの中、押入の中、本棚の中・・・いろんな所に散らばっていたものを、初めて机の上に並べてみた。整理下手な牧夫なので、12本揃ったのは軌跡に近い。他のテープと何かが違ってはいないか、慎重に確かめた。ケースからインデックスカードと本体を取り出し、手首を回転させながら見入る牧夫。
ゐの字
2006/10/11 08:58
mimiうさぎ
2006/10/11 21:54
それと、かけ引きはうまくいきません。そのまますれ違いとか、勘違いとか・・だから恋に恋するのデス。
Tessy
2006/10/11 22:17
点が線になってゆくんでしょうか?
で、渋谷のアップルストアで、つづきをチェックすることにしましょう\(~o~)/
マティック
2006/10/12 10:57
何を発見するのか、一緒に考えてくれませんか〜?
mimiうさぎさん→
4秒のもうひとつの意味ですか・・・むずかスィ〜なあ〜。
もうひとひねり必要なんでしょうね、きっと。
Tessyさん→
今頃は渋谷でしょうか・・・。また、何かを狙ってるんですか!?小説・・・続きを今、考え中ですのでしばらくお待ち下さい。