アメリカン・スプレンダー
友人の勧めで映画「アメリカン・スプレンダー」を観た。最初はTSUTAYAで借りてきたのだが、気に入ってしまいDVDを購入する羽目に。それから数日してNHKのBSで放映があった!別にいいんですけど・・・。
主人公のハービー・ピーカーは(映画のタイトルと同名の)漫画の原作者で、日常生活と漫画の中の世界を行ったり来たりしている。本人の中では区別がついていないと思う。そんな気持ちが映画の演出そのものになっており、漫画のコマ枠が効果的に使われていたり、俳優が演じるハービー・ピーカーと、本人そのものが交互に登場したり。一風変わった映画だが、いかにも単館上映的な「お前に解ってたまるか」的イヤミは全くなく、すんなりと世界に入って行く事が出来る。主人公の人生を「低空飛行」と称したレビューを読んだ事があるが、それは経済的に大成功を収めた作家との比較であり、本人の中では一直線な感じが心地よい。素地がアンダーグラウンド系というだけの話である。竹中直人初監督作品「無能の人」も、比較すれば「冴えない」漫画作家が主役だったが、僕はストレートに感情移入出来た。両者ともクリエイティブとは!、と大げさに叫ばず、ひたすら日常を描いて過ごすという、地味だが強い行動に心を打たれるのである。
写真右はAmazonのバーゲンで偶然見つけた、ハービー・ピーカーがゲスト編集している「The Best American Comics」。こちらに収録されているコミック作家、どの人もとにかく絵が上手い!です。
Dr.Moonlight
2007/06/01 02:20
つけたのは皮肉をこめてつけたタイトルなのかも知れませんが、
身近な生活のなかにも輝きはあるという思いがどこかにあった
のかも知れないと、思ってしまいました。
出だしから一気に引き込まれて、色々なエピソードが織り込まれて
最後まで飽きることもなく観られる上質な物語でした。
こうした丁寧に作られた人間ドラマは、派手なアクション映画と違い、
いろいろと考えさせられるし、何度でも観たくなりますね。
たくさん印象深いシーンやエピソードが有りますが、
ピーカーがファンの女性と食事に行ったとき、肉を食べないので
菜食主義者なのか訪ねられ、「猫を飼ってるうちに自然とそうなった。」
と答えたエピソードはとても印象に残っています。
それにしても同じ映画を観て、同じく面白いと思っても、
注目している場所や意味が違っていたりして面白いですね。
maticさんは視点や思考がシャープで無駄が無く、
いつも感心してしまいます。
「The Best American Comics」の表紙、凄く良いですね。
ぱっと見たときmaticさんの絵とデザインかと思ってしまいました。
収録されているコミックの作家の絵はみんな上手いとのこと、
凄く興味があります。
マティック
2007/06/01 07:31
大変ご無沙汰しております。コメント、有り難う!
今、調べたらThe Best American Comics、まだAmazonで売っていますよ、1681円!ハードカバーで厚さは30mmくらいあるので、かなりお買い得です!日本の漫画は多くが「ストーリーがイイ、でも絵は下手」という感じですが、やはりアメリカは絵の力で伝える感覚が強く、オシャレだしセンスもあります。多分、内容も面白いんでしょうけど・・・。和訳が出ないかなあ。
「ロング・グッドバイ」といい、この映画といい、キャットフード系のエピソードに弱いのかな?とにかくこの映画、けだるい昼の感じと音楽(ジャズやブルーズ)がうまく解け合っていて最高にいいですよね。M氏の部屋を思い出しました。
この手のストーリー、昔は憧れとして受け入れていた様な気がしていますが、今は既に自分の過去と照らし合わせている場合が多いですね。