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date 2007.2.16
category living
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不都合な嘘


温暖化が進み、地球の寿命はあと10年となった。アメリカが中心となり、地球外に脱出する船の開発が急ピッチで進められた。この船の定員は1万人。どのような人が乗ればいいのか、議論が続いていた。居住が可能な惑星にたどり着いた時に、素晴らしい社会が築ける様な人達・・・。まず、手を挙げたのは政治家達だった「次の惑星でも人類の繁栄を・・!」。それに続いて、ありとあらゆる有能な人達が乗組員に立候補した。科学者、芸能人、アーティスト、スポーツマン、ビジネスマン・・・。「この子を乗せてくれ!」と悲痛に叫ぶ人の意見も、僅かながら取り入れられた。地球上で現在生活している、いわばトップの1万人が、目出度くこの船に乗り込むことが決まった。地球の寿命があと半年、というギリギリのところで船が完成し、「行ってくるよ」と乗組員達は地球に別れを告げた。
しかし船が大気圏外に出た途端、大爆発を起こして宇宙の塵となった。
不思議な事に温暖化はその後ストップし、地球にそれ以前の安定した気候が戻ってきた。

Comments: 8 comments

  1. オチまで楽しく読ませて頂きひとしきり笑った後、もしもそのような状況に遭遇したら自分もその1万人に必死に入りたがる人間のひとりになることだろう…と、自戒。色々な意味で深いショートストーリーですね。
    是非マテ先生の絵で映像化してほしいです!!
  2. 楽しく読みました。映像化したら面白いですね。見てみたいです。高校生のころ星新一が好きでした。そのころにタイムスリップしました。
  3. タカタさん→
    おお、笑えましたか!ノアの箱船の逆なんですよ。
    これを僕のイラストで映像化すると、どうなるんでしょうね・・・想像がつきません。シンプソンズ系の軽いノリがいいかな?
    アグリさん→
    おお、楽しかったですか!キツイ話ですよね・・・これ。
    星新一、僕も好きでした。この手の話は沢山書いている様な気がします。筒井康隆も高校生の頃、かなり読んでいました。
  4. masanori

    マティックさん
    私も星新一、大好きでした。そして、星新一といえばイラストは和田誠でしたよね。
    もし星さんがまだ生きていれば、イラストはマティックさん担当で新作を是非、読んでみたかった。
    ちなみに一番好きな作品は「おーい出てこい」でした。
  5. masanoriさん→
    「おーい出てこい」・・・ん〜どんな話でしたっけ?
    僕は、特定の小説家に気に入られた経験がないんです。文芸系の仕事は極端に少ないですね。イラスト界にもいろんなフィールドがある様で。でも、シリーズものの文庫の表紙など一度はやってみたいです。
    真鍋博さんは最高のイラストレーターですね。
  6. 楽しく読みました。星新一さんと、未来少年コナンの
    オープニングアニメが浮かんできました。
    1万人で足りるのかな、などと不届きなことを考えてしまいました。
  7. ぜひ早川書房のやつ、やってほしいですね!宇宙大作戦シリーズか、ブレードランナーシリーズですね。
    2や3も出てますが、これ、挿絵がないんですね。
    ぜひとも、大寺さんの描くスピナーの絵がほし〜。
  8. Anonymousさん→
    1万人で足りるかどうか・・・難しい問題ですが、世界の富の8割は世界の20%の富裕層が所持していると言われていますね。先進国の住民はほぼ悪人ですね。困った問題です。
    Tessyさん→
    「アンドロイドは電器羊の夢を見るか?」は当時、文庫で読みましたけど、その後は読んでいません。「ブレードランナー2」是非映画化して欲しいですね。圧倒的な支持を得た映画の割に、その後パタッと動かなくなりましたから・・・。