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date 2009.1.5
category living
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市長(最後のムカデ)


全裸で風呂掃除をしている時に、何かが天井から背中に落下してきた。ピタッという冷たい感触に思わず体をひねると、それは風呂場のタイルへスルッと滑り落ちた。大きなムカデだった。姿を確認し、反射的に叫んでしまった。悲鳴を上げたのは、人生の中でもこの一度だけだ。
ムカデの事を何故、僕はこんなに嫌ってしまうのか。確かに、姿はグロテスクである。しかし、生理的に嫌ってしまうというそのメカニズムの奥を知りたくなった。後日、僕は熱湯でムカデを殺すことに成功した(叩いてしまったら、組織が潰れてしまう)。そして、高解像度でスキャニングし、デジタルデータ化した。23インチのモニターに拡大表示して、随分と長い間楽しんだ。それぞれのフシは、ブランドモノのバッグも真っ青な、キレイなカタチをしている。半透明の箇所も沢山あって美しく、見飽きない。たまたま「人間と虫」というスケール感の違いが、不幸な対立を招いていると悟ったのであった。ムカデにしてみれば、対立でも何でもない訳だが・・・。肉眼の常識から離れて、ミクロの世界に入る。或いは地球を遠く離れて俯瞰で見る。こうした行為が新しい価値観を生み出すのではないか。
「市長(最後のムカデ)」と題されたこの作品は、嫌われ者のムカデが駆逐され、遂に地球上で最後の一匹になってしまった状態を表現したもの。「最後の一匹」と解った途端に、あらゆる国のお偉方(政治家、宗教家、科学者など)が、慌てて保護運動に乗り出したのだ。ムカデは市長としての役割を与えられ、彼の思想は機械を通して人類へと送られている。想像を絶する知恵が、彼の頭脳に蓄積されていた・・・。

Comments: 2 comments

  1. よしみーん

    これは一度みたらなんだか忘れられなくなった作品でした。あらためて読ませてもらって、「想像を絶する知恵」にさらなる興味をひかれますね〜。マティックを「キャ」と言わせた(笑)市長の体長は、どれくらいだったのでしょうか。
  2. よしみーんさん→
    自分の悲鳴というのは、この時に初めて聞いたんですがキャーというレベルではなく、うっっわあ〜あ〜っっていうか、ギ%$#=~"#><{}$=!!!!っていう感じだったんです。体長は15センチくらいだったと思います。