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date 2009.12.7
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シンポジウム(3)


シンポジウムの最初に「圧縮」と「非圧縮」を画像で考えるという話をしました。photoshop(画像処理ソフト)のオリジナルファイルと、jpegと呼ばれる圧縮されたファイルを並べて見せて、どのように情報が省略されているかを確かめてもらったんです。web上では両者ともjpegになってしまいますが、圧縮率を変えています(画素数は同じ)。見てもらえば解る通り、近似した色をまとめる事で情報量を抑えていくんですね。同様の圧縮技術が音楽にも施されており、配信でしか音楽を楽しんでいない若者は、多くの場合画像下の様な劣化した情報として接する機会しかない訳です。きちんと聴けば平面的な、品のない音である事が確認できる筈です。車の中やヘッドフォンで聴く場合、こうした音源はもしかすると気にならないかも知れません。しかし、長期的に見た場合は「体に悪い」のではないかと考えます。だって、普段目にする景色が画像下の様だったら、気分が悪くなるでしょう。怖いのは、こうした景色や音があたり前だと感じるようになる感性の低下、好奇心の低下です。
人間もバカではないので、ハイエンド方向で考えると、CDよりもより良い音で楽しめる環境が整っています。シンポジウムのスライドでは、スーパーオーディオCDの圧倒的な情報量の多さなどを紹介しました。若い人にこそ楽しんでもらいたいメディアです。
***
しばらくブログを怠っていましたが12/3まで遡って更新しました。

Comments: 2 comments

  1. 極めて興味深いエントリーですね。
    20年程前に全身麻酔による手術を受けた事がありますが、
    その時、麻酔が効いてきて意識がなくなる直前、繰り返される看護士さんの呼びかけの声に
    何とも言えない「電気的な違和感=不快感」を覚えました、、、
    この体験は結構強烈で、ことあるごとに感覚的には思い出していたんですが、
    他の何かに例えようがなく、もどかしさを感じ続けていました。
    その後、インターネットを始めて、
    低ビットレートのストリーミング配信の音声を耳にしたとき
    「コレと同じだっ!」と戦慄が走りました。
    、、、そうなんです、繰り返される看護士さんの呼びかけの声は
    ボリュームを静かに絞る感じではなく、情報が次第に歯抜けになって
    圧縮率がどんどん上昇する形=劣化した情報で私の脳に届いていたのではないかと思います。
    マテさんの提言の傍証にはなりそうもない、ブレた与太話ですが、
    自分としては身体を切り刻んだ時に得た貴重な実感体験なんで書き込んでみました。
  2. hammerさん→
    久々のコメント、有り難うございます!勇気づけられるエピソードですね!・・というとhammerさんの体験と反比例してしまいますが・・・。人間の脳とデジタル音声の関係について、今後はもっと研究が進んで欲しいですね。以前にも書きましたが、携帯電話の音声は昔の黒電話よりも数段悪く、ニュアンスが聴き取れずに会話自体が大雑把になってしまいます。声を荒げたり、キレたり、というのもビットレートと関係していると思います。
    便利さの影で失われていく音声のクオリティ・・・音楽家やオーディオ評論家の意見をきちんと取り入れるべきですよね。